刑務所跡地が観光スポットになっているところもあって、中には「刑務所一泊ツアー」みたいなネタ色の強い催しもあるそうです。そういうものを「娯楽」として消化するような人にしてみればカプセルホテルもスマイルスキャンも話のタネとしては喜ばれるのでしょうけれど、日本のすごいところはこれがネタではなくマジだというところです。「ディストピアごっこ」の舞台装置としてカプセルホテルやスマイルスキャンがあるのではなく、各地の職場で導入されるなど「日常」に組み込まれている――つまりはアトラクションとして幽霊屋敷が作られているのではなく、幽霊屋敷で生活することを強制しているようなものであり、まさに気が狂っていると見なされても不思議ではないと思います。
「世の中に笑顔を増やすという製品の意図」などとオムロンの広報担当者は宣うわけですが、機械による測定で増やされた笑顔に何の意味があるのでしょうか。独裁国家の「将軍様」の支持率と同じです。忠誠心を測ることで「不合格」な人間をあぶり出し、脅しを掛けることによって見せかけ上の支持を作り上げる、それと同じことです。人に笑顔を強制する、喜ぶことまでを強制しようとする国家では人権が守られているとは言えないでしょう。
なぜスマイルスキャンが最低の発明に選ばれたのか、その理由が理解されないよう社会が次に産み出すのは何でしょうか。笑顔の測定器の次は、「仕事へ取り組む真剣さ」を測る機械でも作られそうですね。スマイルスキャンの前で必死に笑顔を作ることを強いられた次は、測定器で勤務態度を監視される……こうなっても不思議ではありません。その最終形態は「思想/信条スキャン」でしょうか? とかく「心」を支配したがる国ですから。